まず大前提として、授業を真面目に受けている、テストで平均点以上とっている、作品を全て提出していること。以下の内容は、これらをクリアしているにもかかわらず、どうしても5がとれないという人に向けたアドバイスになる。大前提をクリアしていない人はとりあえず「授業中遊ばない、テスト対策をしっかりする、作品を全て提出する」ことを目標に頑張ろう。
テストは大事だが、実技がもっと大事
実技教科全てに言えることだが、テストと実技の評価の割合は実技のほうが大きい。
なので「テストで100点とったからもう5だろう」とか考えてはいけない。仮にテストが100点でも作品を提出しなければ4以下もあり得る。
しかし、テストより実技が大事とはいえ、テストの点数が悪い場合、5は厳しくなるので、テストも「良い点」を取れるようにしよう。
テストが難しいか簡単かは先生によって変わるので、何点取ったら「良い点」なのかは分からない。ただ、目安として、学年の平均点よりも上であれば「良い点」といえるだろう。
課題を全て提出するのは当たり前
たまに「作品を全て提出したのに5じゃなかった」と嘆く人がいる。
では、体育の授業で全ての実技に参加すれば、全然運動ができなくても5がもらえるだろうか?
例えば、鉄棒の授業に毎回参加するが、一度も逆上がりができなかったとして、5がもらえるだろうか?
実技教科は参加するだけではダメなのだ。
美術の授業における作品を提出するということは、その授業に参加したということに過ぎない。
厳しい言い方かもしれないが、作品を全て提出するのは当たり前のことだ。
重要なのは、その提出した作品の質、クオリティである。
作品のクオリティを上げるには「めあて」と「オリジナリティ」を意識する
「なんだ、じゃあ結局、絵が上手いやつしか5はとれないじゃないか」と思ったそこのあなた。そんなことはない。あきらめないで続きを聞いてほしい。
作品のクオリティを上げるために意識するポイントは2つ「めあて」と「オリジナリティ」だ。
まずは「めあて」について解説していく。
授業で示される「めあて」とは
授業で課題が出される時には、毎回「めあて」というものが示されているはずだ。「めあて」とは、「この授業でこんなことができるようになってほしい」というもので、これが達成できた場合に「良い評価」となる。
つまり「絵が上手い作品」がよい作品なのではない。「めあてを達成した作品」が良い作品なのだ。
極端な例だが「リンゴを描きましょう」という課題が出たとする。それに対してバナナを描いたとしたら、そのバナナがどんなに上手に描けていたとしても「良い評価」はもらえない。
めあては「〇〇な〇〇を工夫してつくろう」とか「〇〇に注目して楽しい〇〇をつくろう」といった、あいまいなものが多い。「〇〇を上手に描こう」とか「学校の風景を写真のように描こう」といった具体的・限定的なめあては出されない。
めあてにありがちな「楽しい」とか「工夫」とか「自分だけの」とか「視点」といった言葉に注目してもらいたい。これらはそれぞれ、楽しい様子が伝わるか、工夫をしているか、自分だけの思考がみられるか、視点を意識しているか、が重要で、絵が上手い・下手は関係ない。たとえ下手でも達成でき得るものだ。
作品のクオリティを上げるには、めあてを意識して制作することが重要なのだ。
ただし、めあては大事だが、それを達成するのは実はそんなに難しくない。なぜなら、めあては全ての生徒が達成できるように設定されているので、意識さえすればまず外さない。「意識しないと外す恐れがあるので気をつけようね」という程度のことでしかない。
作品の「オリジナリティ」とは
次に大事なのが「オリジナリティ」だ。オリジナリティとは「独創性」のこと。つまり、ありきたりな作品ではない、個性的な作品であるということ。
そのためには、他の人と違った表現や見方・考え方を見つけることができるかどうかがカギになる。
ここで重要なのは、上手さではない。自分だけの見方・考え方があるかだ。
ここからは、オリジナリティのある作品を制作するための作戦を3つ示していこう。
オリジナリティ向上作戦その1「作品をいきなり描かない」
課題が出されたら、まずはアイディアを練る。いきなり画用紙に描きだしてはいけない。
5分で思いつくことができるアイディアは、きっと他の人も思いつく。しかし1時間かけて思いついたアイディアは他の人が思いつかないアイディアである可能性は高くなる。
めあてから外れないように注意しつつ、どんなテーマにするか、何を描くか、どんな構図で描くか、課題に与えられている全時間の3分の1、または半分を、この練る時間にかけてもいい。それぐらい最初のアイディアを練ることは重要だ。ここがありきたりなアイディアでは、ありきたりな作品にしかならない。他の人とアイディアがカブった場合、その人より上手に描けなければ差別化ができないことになる。
カブらないためにもアイディアを最低でも10パターンは考えよう。できれば100パターン欲しい。そこまで考えた中からならきっと自分しか考えていないものが見つけられるはずだ。
アイディアを練る場合は、スケッチブックなどを用いてまとめていこう。
オリジナリティ向上作戦その2「先生に質問する」
たくさん考えたら、先生に質問しよう。自信作を2つほど決めておいて「これだけ考えていて、これかこれがいいかなと思うんですが、いかがですか?」と聞いてみる。
先生は何人もの生徒作品を見てきているので、すでに見たことのある「ありきたりな作品」なら、指摘してくれるはずだ。面白いアイディアだね、と褒められたらそれを採用しよう。
いくつも候補がある場合は「先生はどれがいいですか?」と聞いてみるのもいい。ただし、いきなり先生の意見を聞くのではなく、まずは自分の意見を述べておくことが大事だ。最初から先生の意見を聞こうとすると、先生の好みに合わせて作ろうとしている、と思われる恐れがある。
先生は基本的に自分の考えを押し付けたりしない。アドバイスをして、それをそのまま制作されたら、それは生徒の作品ではなく先生の作品になってしまう。それを嫌う先生は多い。なので先生はなかなか具体的にこうしたらどうだろうという提案はしない。
これで自分だけのアイディアを、自信をもって制作することができる。
オリジナリティ向上作戦その3「表現方法を工夫する」
ここからは実際に制作に入っていくが、ここまででテーマや構図、表現方法など、大体は決まっているので迷うことはない。のこりの時間を使って精一杯仕上げていこう。
ただ、実際に制作してみてうまくいかないこともあるだろう。その時は、できそうな表現方法に変えたり、難しい部分を省いたりするなどの工夫が必要かもしれない。その時にも、これまでに考えてきた、たくさんのアイディアたちが助けてくれるだろう。
以上がオリジナリティのある作品を制作するための作戦だ。ここからはそれでもうまくいかない人へ奥の手を授けよう。あくまで「奥の手」なのでここまでの作戦を全て実行した上でのものになる。奥の手だけを実行しても効果は薄いので注意しておこう。
奥の手1「先生に作品を憶えてもらう」
毎時間、作品について質問をするようにしよう。先生は毎週100枚以上の生徒作品を見るので、全ての作品を憶えているわけではない。そして、その作品の制作過程やその作品に対してどんなアドバイスをしたのかも、すべて憶えているわけではない。作品を評価するときに、その作品の制作過程やアドバイスを思い出させることができたら、いい結果につながりやすくなるだろう。だから毎時間質問をして、「前回こんなアドバイスをもらって、こうなりました。ここからはこう進めていこうと思いますがどうですか?」と聞いて、毎時間の進捗状況を逐一見せていくことで先生に作品を憶えてもらうのだ。セットであなたの考えや努力していること、工夫していることも憶えてもらえる。
質問の仕方としては、ざっくり全体について聞くよりも部分的な聞き方の方が意見をもらいやすい。
奥の手2「先生に罪悪感をもたせる」
先生に質問をして、もし先生からアドバイスがもらえたら、必ずそれを実行すること。例えそれで失敗したとしても、先生の中に「アドバイス通りにやってくれたのにうまくいかなかったんだね。アドバイスが悪かったかな」という罪悪感を持たせることができる。先生のアドバイス通りにやったのだから、悪いようにはしないだろう(ゲス顔)
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