コンクールなどではよく「四つ切り画用紙」や「B3サイズの画用紙」が指定されている。学校でもらえればいいが、自分で購入しなければならない時、店頭に「B3サイズの画用紙」がなくて困った経験はあるだろうか。今回はそんな「B3の画用紙が見つからない問題」の解決法をお伝えしよう。
四つ切りってなんだ
画用紙のサイズでよく聞く「四つ切り」や「八つ切り」というのは全版(全紙)のサイズを基準としている。その全版を4等分したサイズが「四つ切り」8等分したサイズが「八つ切り」となる。そして、日本で主に販売されている画用紙のサイズは「四六判」と呼ばれる全版(全紙)を基準としている。
ややこしいのが、全版(全紙)の種類がいくつかあるということ。全版(全紙)のサイズが異なると当然、「四つ切り」「八つ切り」の大きさも変わってしまう。
よく聞くA4やB5というサイズは「A判」(A列本判)や「B判」(B列本判)と呼ばれる規格になり、画用紙とは基準となる全版(全紙)のサイズが異なるため、同じ「四つ切り」や「八つ切り」でも全く同じサイズにはならない。
ちなみに全版のA0を半分に切ったものがA1、A1をさらに半分に切ったものがA2となり、画用紙の四つ切などと同じで、半分半分に切っていったサイズになる。
四六判 | A判 | B判 | |||
全版 | 788×1091 | A0 | 841×1,189 | B0 | 1,030×1,456 |
半切り | 545×788 | A1 | 594×841 | B1 | 728×1,030 |
四つ切り | 394×545 | A2 | 420×594 | B2 | 515×728 |
八つ切り | 272×394 | A3 | 297×420 | B3 | 364×515 |
16切り | 197×272 | A4 | 210×297 | B4 | 257×364 |
32切り | 136×197 | A5 | 148×210 | B5 | 182×257 |
B3サイズの画用紙とは
コンクールの規格では「四つ切り画用紙」や「B3サイズの画用紙」などがよく設定されている。
「四つ切り画用紙」は容易に手に入るが、面倒なのが「B3サイズの画用紙がほしい」という時。先に述べたとおり、画用紙は「四六判」を基準としているため、多くの店頭には「B3サイズの画用紙」というものがない。なので最も近い「四つ切り画用紙」を代用することになる。
そのまま使用しても問題ないと思うが、顧問に相談してみよう。
どうしても規格を守りたい場合は、四つ切り画用紙をカットしてB3サイズに変更してから使用しよう。待てるのならばネットで購入することもできるので「B3画用紙」で検索してみよう。
結論:四つ切り画用紙を代用して問題ない。気になるならカットしてサイズを合わせよう。
ここからはちょっと深い話
主な紙のサイズは、コピー紙や書籍など一般的に共有や流通がしやすいようにJIS(日本工業規格)やISO(国際標準化機構)などの規格に合わせたサイズが存在し、原紙寸法と加工仕上げ寸法の2種類の規格がある。
原紙寸法とは、規格に合わせた寸法に裁断する前の、紙のもともとの大きさのこと(いわゆる全紙サイズ)。JIS(日本工業規格)では「A列本判」「B列本判」「四六判」「菊判」「ハトロン判」の5種類について「紙の原紙寸法」を定めている。
加工仕上げ寸法とは、紙を裁断や加工する上での基準として定められた規格サイズで、A列、B列についてのみに定められている。A列、B列については加工仕上げ寸法の最大サイズであるA0判、B0判が全紙サイズとなる。
JISで「紙の原紙寸法」を定めている5種類について
【A判】
A判は、日本の規格ではなくドイツの工業規格が元になっている。ドイツの物理学者であるオズワルドが考案した規格で、日本では1929年に取り入れられた。現在では、国際規格として広く普及している。
原紙サイズは625mm×880mm。
【B判】
B判は、日本独自の規格。江戸時代に公用紙として使用されていた「美濃和紙」の判型である美濃判に由来。江戸時代の御三家の1つである尾張藩が美濃地方で作らせた美濃和紙は、障子紙の版形としても使用され、日本標準規格として定着した。
原紙サイズは765mm×1,085mm。
【菊判】
菊判は新聞用紙に使用する目的で、日本がアメリカから輸入した紙のサイズ。当初は新聞用紙のみに使用するつもりだったが、後に他の出版物にも使用されるようになった。
「菊判」という名前の由来は、諸説あるが、輸入紙の商標にダリアの花が使用されており、菊の花に似ていたことによるといわれている。菊判は単行本によく使用されるB6やA5などのサイズより一回り大きいため、書店で目につきやすいという理由から、現在でも書籍などに菊判が利用されることが多々見られる。
原紙サイズは636mm×939mm。
【四六判】
明治時代にイギリスから輸入された四六判は、イギリスの紙の規格である「クラウン判」が元になっている。美濃判の約8倍もの大きさがあり、出版物によく使用される「4寸×6寸」サイズが取りやすかったため四六判と呼ばれるようになった。
原紙サイズは788mm×1,091mm。
【ハトロン判】
ドイツ語の「パトローネンパピアー(弾丸の薬莢(やっきょう)を包む紙)」が語源といわれている。日本では、第2次世界大戦頃まで作られていた「ハトロン紙」という包装紙の1種が909mm×1,212mmのサイズであったため、現在の原紙サイズをハトロン判と呼ぶようになったといわれている。
原紙サイズは900mm×1,200mm。
ちなみに、サイズの名称ではないが、包装紙で「クラフト紙」という紙がある。この「クラフト」というのはドイツ語で「力」「能力」を表す。力のある紙、強い紙というような意味になるだろう。
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