美術部の部長をしていた頃、同級生からよく聞かれた質問
美術部って毎日なにしてんの?
美術
ってことは毎日絵を描いてるの?
そうだよ
・・・大変だね。頑張って
こんなやりとりを何回したことか。
美術部は毎日「美術」をしているんだよ
バスケ部が毎日バスケを、サッカー部が毎日サッカーをしているように、美術部は毎日「美術」をしてるんですよ。でも、
じゃあ「美術」って何してるの?とか
毎日絵を描いてるの?って質問がくるので、その度に
そもそも美術部の「美術」って何してるのか理解されていないんだなぁと感じていた。
美術部の「美術」とは
授業の「美術」を思い浮かべてもらえれば分かりやすい。つまり「作品」を作っている。
ただし、授業の「美術」と違って、毎回課題が与えられたり、締切りがあったり、評価されるということはない。
好きなものを好きなだけ描いて、誰に見せることもせず帰る。これでもいい。
でもそれは公式試合をしない運動部に似ている。ひたすら基礎練習して練習試合をして終わり。
練習の成果をどこにも披露することなく部活人生を終える。
それじゃあ面白くないと思ったら、運動部の公式試合のように展示会をしたりコンクールに応募する。
学校によっては、あるコンクールの常連校だったり、毎年展示会を開催してたりする。
いわゆる強豪校の美術部に入った場合、好きなものだけを描いて誰にも見せずにさよなら、とはいかないかもしれない。
毎日絵を描いてるの?
作品を作るってことは、毎日絵を描いているの?と思う人もいるかもしれないが、一言で美術と言ってもいろいろある。
大きく分けても、絵画・彫刻・デザイン・工芸・映像、などがある。
もっと細かく分けると、水彩画・油画・日本画・石彫・木彫・グラフィックデザイン・プロダクトデザイン・陶芸・染色・織物とか、芸術学なんてものもある。
作品は絵を描く以外にもいろいろあって、道具さえあれば、これらのどれを作ったっていいのだ。
作品をつくるだけですか?
運動部が試合するだけが全てじゃないように、美術部も作品制作するだけが全てではありません。
基礎練習のデッサンやクロッキー、構想を練るエスキース、マケットなど、作品制作のためにするべきことはたくさんあります。運動部の筋トレや走り込みに近いかな?
また、作品ができたら講評会をしたり、顧問と面談したりして作品の分析をすることもあります。
講評会をする美術部かどうかは学校によって違いますが、他の部員の前で作品の講評をされるのは、他では味わえない緊張感です。
学校によっては卒業式の壁画を作成したり、展示会を開催したり、コンクールに応募したり、合宿やクリスマスパーリーや送別会といったイベントがあったりもします。
美術部って自由だし楽でしょ?
毎日数人で集まってキャッキャしながらオタクっぽいイラスト描いてていいですね。こっちは毎日汗かいて練習してるのに。と運動部の皆様は思われていることでしょう(被害妄想)
否定はしません。そういう美術部もある。
でも部活で作品を作るって、美術の授業の制作と比べて、とっても大変なんですよ。
授業の課題と違って自由。時間の制限もないし、テーマも自分で決めるし、画材も自由。
制作って自分と向き合うことだから、嫌でも自分を掘り下げて、試行錯誤して、いくつも失敗を重ねて、その先にやっとひとつの作品が出来上がる。でも、正解はないから、また悩んで次の作品を作っていく。点数もないし、勝ち負けもない。自由だけど、自由=楽ではないんです。
キャッキャしているように見えても、作品に向き合うときはみんなひとりになる。
体は汗をかかないけど、脳みそは汗かきまくり。
結論:美術部は自由に作品制作をし、毎日自分と向き合っています
関連記事:美術部ってどんな人がいるの?
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