美術部の活動に部誌をつくるというのがある。絶対につくらなければいけないものでも無いが、部活動にマンネリ化が見られるからテコ入れしたいとか、作品の発表の場を増やしたいと思うのなら、部誌をつくるのもひとつの手だろう。今回は部誌のつくりかたや注意点を解説していこう。
部誌とは
部誌とは部活単位で発行する冊子のこと。とはいえ、大体は自分たちで印刷して綴じる、簡易的なもの。印刷会社に外注したりすることは学校の部活の規模ではなかなか無い。
部誌の内容も様々だが、大まかには部員各々の作品を載せる。部活の紹介のため、部員のプロフィールを載せたり、活動内容を載せるものもある。
内部向けの場合、部員の数だけ作成して部員だけに配ったり、新入生に入部体験時に配布したりする。外部向けの場合、文化祭や展示会で配布したりする。
部誌を作るメリット
編集の経験になる
- 表紙・背表紙などのデザイン
- 部誌の名前を決める、ロゴのデザイン
- 綴じ方を決める。右綴じ、左綴じ、上綴じなどの印象の違いを考える。
- 印刷の範囲を考える。原稿の範囲はどこまでなのか、トンボを書くのか。
- 色の制限。白黒印刷なのかカラー印刷なのかで原稿も変わる。
部誌を作る上で考えないといけないことは沢山ある。全てがいい経験になるだろう。
連帯感が生まれる
制作過程で協力しあうことで連帯感が生まれる。
原稿のやり取りや編集の際の話し合い、綴る作業など、部員同士でコミュニケーションをとらないといけない場面がいくつか生まれる。
美術部には数少ないコミュニケーションをとる経験になる。
作品の発表の場になる
部員内で見るにせよ、外部に配布するにせよ、他人の目に触れる経験は大きい。他者を意識して制作する行為は、日頃の自分のための落書きとは違い、緊張感をもって制作することができる。また、自分の作品が複製されて出回るという経験も、喜びや恥ずかしさなどいろいろな感情を抱くことだろう。
美術部のレベルが一目瞭然
部誌の作品を見ればその部活のレベルが測れる。部誌のデザインやセンス、好きなジャンル、部員の数や活動内容、日々の取り組みなどを、ある程度知ることができる。測れるのは、あくまでイラストのレベルであって、絵画や彫刻のレベルは測れないが、いろいろ読み取ることができるだろう。
部活紹介に最適なツールになるので、部員勧誘に利用しよう。また、部員同士の会話のきっかけにもなる。今まで知らなかった部員達の趣味嗜好が分かったり、実力が分かったり。
部誌の作り方
原稿作り
部誌に載せる原稿を描く。基本的には手描きだと思うが、環境によってはパソコンでもよい。また、同時に担当者は表紙や背表紙を作る。
作品のテーマは自由でもよいが、一貫したテーマを決めると部誌全体の統一感が出る。
原稿の印刷
次に、提出された原稿をまとめてページをふり、印刷する。片面印刷よりはページを抑えるために両面印刷がいいだろう。印刷する紙の大きさは部活に任せるが、一般的にはA4かB4だろう。部誌の印刷はコンビニのコピー機でもできるが、かなりお金がかかるので、学校にある印刷機を使うとよい。顧問にやってもらうか、顧問立会いのもとで印刷する。くれぐれも生徒だけで印刷機を使用しないように。部員の人数分しか制作しないのなら印刷はすぐ終わるが、文化祭などで配布する場合はかなりの量を印刷することになる。印刷だけで1日以上かかることもあるだろう。
並べる
印刷する部員以外の部員は机を並べて印刷を待つ。印刷ができたら、紙をページごとに並べていく。このとき、次の作業がしやすいように偶数ページを上にする。
A4の場合はそのまま綴る。B4の場合は重ねて、最後に真ん中で半分に折る形が一般的。
製本
机に並べた紙を表裏の印刷がきちんとされているかを確認しながら1枚ずつ取って重ねていく。紙を取りながら机の周りをぐるぐる回る。指の脂がないとそこで渋滞がおこる。全てのページを取ったら、縦置きと横置き交互にしながら重ねて置く。
検閲
綴る前に、不備がないか1冊ずつチェックする。落丁や表裏の間違いがないか1枚1枚見ていこう。
ホッチキスで綴る
部誌をホッチキスで綴っていく。A4の場合は片側をそのまま綴る。右綴じ、左綴じ、上綴じなどいろいろある。B4の場合は半分に折ってある中心を2ヶ所ほど綴る。
部誌の厚さにもよるが、大きいホッチキスを使うこともあれば、一般的な大きさのホッチキスを使うこともある。美術室中のホッチキスをかき集めよう。
完成
おつかれさま
著作権について
作品を描く上で既存のマンガやゲームなどのキャラクターを描きたい部員もいるだろうが、著作権には留意してもらいたい。自分で描いて自分で見るだけなら問題ないが、これを印刷して配布するとなると事情が変わってくる。無料ならセーフ、販売ならアウトという単純なものでもない。とはいえ、配布の範囲が部活内でおさまるのなら、訴えられることはなかなか無いと思うが、それ以上の範囲に広がる場合、著作権に関して、かなり慎重に取り扱うべきだろう。
著作権法はセーフとアウトの境界線を著作権保持者が決めることになっているので、許可を得ようと思ったら、その版権を持っているところに問い合わせるのが正確な回答を得られる唯一の方法となる。最近はそのへんのガイドラインを公式サイトで明記しているところも多いので、まずは版権を持っている団体の公式サイトをチェックしてみよう。
いちいち問い合わせるのがめんどくさいからといって、著作権をないがしろにすると、いざ問題になった時に訴えられるのは学校になる。敗訴すれば多額の賠償金を支払うことになり、美術部が咎められるだろう。これまで美術部で頑張ってきた歴代の先輩方の顔に泥を塗ることにもなる。逆に版権のお墨付きがあれば 堂々と描けるので、どうしても描きたければここは頑張ろう。
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