展示会をやってみよう 展示会の形態編

美術部へ

展示会は美術部員なら一度は経験してもらいたい。
作品を人に見てもらうという経験はきっと大きなプラスになるはず。
今回は部活動における展示会の形態(タイミングや場所)について解説してみよう。

展示会を行うメリット・デメリット

まずは展示会を行う場合のメリット・デメリットについて考えてみよう。

メリット

作品を多くの人に見てもらえる

自分のための作品もダメではないが、やはり「作品は見せてなんぼ」
他者に見てもらうことで得られるものは大きい。制作中の「見せるからには」というモチベーションや見せてから恥ずかしいという感情も全て、次回作の肥やしになる。

新しい交流が生まれるかも

展示会に来てくれた人があなたの作品に共感してくれたり、ファンになってくれたり、高校や予備校の先生がいて、声をかけてもらえたりするかもしれない。後輩があなたに憧れて入学してくるかも知れない。もちろん、そんなことはなかなかないかもしれないが、確実にある。実際この目でそういう場面をいくつも見てきた。そんなことが起こる確率は低くても、0じゃない。でも展示会をしなければ絶対に0なのだ。「あったらいいな」くらいの気持ちでやってみよう。

展示の知識が身につく

展示会に行ったことがある部員は多いと思うが、実際に自分で展示を行うとなると、鑑賞する側とは違った視点が持てるし、展示に関する知識が得られる。
展示会をするにあたっては、決めなければいけないことがたくさんある。
以下に大まかではあるが列挙してみよう。具体的なことは別記事にて紹介。

  • 準備期間 展示会の名前 ポスターやDMのデザイン 会場のレイアウトや動線 展示方法
  • 展示期間中 受付のシフト 受付の対応
  • 展示期間終了後 片付けの段取り 片付け お礼状の手配

これだけのことを部員で手分けして行わなければならない。大変ではあるが、この経験は絶対に次に生きてくる。ライティングや配置など、展示方法を意識した作品制作ができるようになるし、よその展示会に行ったときの見方が変わってくるだろう。

部員同士の中が深まる

上述のように、これだけ大変なので、その過程での団結やそれを乗り越えたときの達成感は想像以上に大きい。個性的な部員が多いので、その分、衝突も多いかもしれない。しかし、そこから人との距離感やお互いの妥協点を模索する中でコミュニケーション能力を身に着けることもできるだろう。

デメリット

準備・片付けが大変

上述したように準備、片付けがとても大変。

作品制作の重荷になる

制作時のプレッシャーやスケジュールの調整など。締め切りのある制作はなかなか大変。
場合によっては体調を崩すこともあるかもしれない。

失敗したときの精神的ダメージがでかい

結局仕上がらなかった、思うような出来にならなかったなど、展示会自体の失敗というよりは、個人の作品に対しての失敗という場合が多いだろうが、その時の精神的ダメージは大きい。もう二度と展示会をしたくないと思う部員もいるだろう。ここで踏ん張れるか、踏ん張れないかが作家への向き不向きを分けることになるかも。

総じてメリットと比べてデメリットは少ないと思う。部員同士で検討して、環境が許すならぜひ展示会をやってみてもらいたい。

展示会のタイミング

では実際に展示会をするとして、どのタイミングで展示会をするのがいいのだろうか。展示会を開催するタイミングを検討してみよう。

学校行事期間中

集客が見込める大きな学校行事に絡めるパターン。文化祭や体育祭、合唱コンクールなど。期間が長くなるが三者面談期間というのもある。

卒業前

美術系高校ではよく卒業前に三年間の集大成として展示会をやっている。その場合、新入生をターゲットにする場合が多い。美術部でその時期に行うのもよいのでは。

好きな時

三年生が引退する夏休み前とか、「部活動がダレる2学期頃に気を引き締めるために」とか、新入部員獲得のために4月とか。まぁ部活の実状に合わせて、好きなタイミングで行ってもいい。きまりはない。ただし、行事と絡めるパターンと違って、集客するためにはDMやポスターなどで告知をしないといけない大変さがある。毎年続けていくと伝統というか、慣例になりその手間も少なくはなっていくだろう。

展示会の場所

だいたいは学校が会場となるだろう。融通が利くし、なにより無料で使える。また、展示会としてよりよい環境を考えるのなら、美術館やギャラリーなどを視野に入れてもいいだろう。とはいえ、無料で展示させてもらえる場所は少ないので、使用料をどう工面するのか、顧問と相談してみよう。

校内の場合

美術室

王道パターン。ただし展示中は美術の授業ができなくなるので、行事期間のみの使用になる。また、行事の片付けと同時進行で展示会の片付けをする必要がある。

エントランス 生徒用玄関

展示期間中に美術の授業がある場合、美術室が使えない。
広いスペースがあるのならエントランスや生徒用玄関もよい展示場所だ。美術室より人の往来は多いだろう。ただし、壁だけで展示スペースが足りない場合はパーテーションや長机などを持ち込む必要がある。

多目的室や空き教室

美術室、エントランスいずれも使えない場合、開いている教室を使うのもよい。ただし展示会ができるようにするための片付けが大変かも。持ち込む道具も多くなるだろう。また、人を誘導する工夫も必要。

体育館 武道場

作品数が多くて、美術室では足りない場合、体育館や武道場もよい展示場所だ。壁が少ないのでパーテーションや長机の持ち込みが必要になるだろう。
学校行事期間だと使えない場合も多いし、体育系の部活との兼ね合いもあるので難しい場合も多い。

校外の場合

美術館

美術の展示をするための場所なので、環境としては最高。使用料をどう工面するかがポイント。
公立の美術館なら多少の融通は利くかも知れない。

公民館

環境としては美術館に劣るが、公民館の方が融通は利きやすいかも。会場は主にホールか廊下になるだろう。

ギャラリー

大体は規模が小さい。使用料はオーナー次第だが、無料はなかなかないと思われる。展示設備はギャラリーによるが、美術展示に特化したギャラリーならいい環境が整っているだろう。
大きい町なら、県民・市民ギャラリーというのもある。

展示会の例

ここまで、展示会のタイミングと場所を紹介してきたが、その実例をいくつか紹介しよう。

文化祭の時に美術室で

文化祭の行事の時に美術室にて展示会を行うパターン。

学校がPRしてくれるので、集客も見込めるし落ち着いてできる。片付けが他の催しと重なっている場合、少し大変かも。

体育祭の時にエントランスで

体育祭の時に校内のエントランスにて展示会を行うパターン。

文化祭と体育祭を隔年で行っている学校もあるので、こんなパターンもあるだろう。どうやって運動場から校内に誘導するかがネック。会場に監視員をつけられるかもポイント。

三者面談期間中にエントランスで

三者面談期間は保護者の来校が多い。その期間にエントランスにて展示会をするパターン。

美術室が使えないため、エントランスになる。しかし面談期間が数日あるので割と長い期間展示できる。また、一日の来場者はそんなに多くないため、ゆっくり鑑賞できる。同じ学校の生徒も見に来られる。

合唱コンクールの時にホールのエントランスで

学校によっては合唱コンクールを校外で行う場合もある。その会場のエントランスなどを利用して展示会を行うパターン。

ただし、合唱めあての保護者が多いため、入場と退場のタイミングでしか鑑賞しない。また、その時間帯が重なり、展示会場に人が集中するため、ゆっくり鑑賞できない。
準備をする時間が前日か当日の午前中となっている場合が多い。凝った展示はできないであろう。

卒業前に美術館で

美術系高校に多く見られるパターン。

3年間の集大成として、美術館を借りて1週間ほど展示会をする。中学生が見に来てくれるので、新入生獲得につながる。展示する環境も良いため充実した展示会ができるだろう。校内で行う展示会とは違い、集客のためにDMやポスターによる告知が必要。

他にも様々なパターンがあると思うが、展示会の目的は「作品を多くの人に見てもらうこと」。
その目的を達成できるのなら、(他人に迷惑をかけなければ)どんなタイミングで、どこで行っても構わない。

結論:展示会は大変なことが多いが美術部にとって実り多きものとなるだろう

関連記事:展示会をやってみよう 具体的な方法編

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