美術部なら一度は聞いたことがあるだろう「クロッキー」という言葉。
今回はそのクロッキーを描いたことがないという初心者部員にむけて、クロッキーの描き方のコツを解説していこう。
クロッキーとは
そもそもクロッキーとは、対象を素早く簡易的に写生したもの。
1~5分程度で描き上げ、細部より全体を捉えることを重視する習作のこと。
繰り返すと対象を捉える力や素早く描く力が鍛えられる。
途中で時間切れにならないように、とりあえず描き切る、完成させることが大事。
必要な道具
鉛筆
やわらかい鉛筆(6B程度)を2~3本用意。
芯を長く出すように削っておく。
紙
コピー用紙でいいので100枚くらい用意しよう。
使うときは5枚程度を重ねて、画板にクリップで固定する。
画板
紙の下に敷く板。
無ければベニヤ板などでもよい。
B4サイズ以上あれば十分。
目玉クリップ
紙と画板を固定するのに使用する。
他の形状のクリップも可。
練り消しゴム
基本的に短い時間での制作なので、あまり線は消さない。消している時間がない。
なので消しゴムはあまり使わない。消しゴムを持っているとどうしても消したくなってしまう。
練り消しゴムの場合、線を消し切らず、薄めて残すことができる。
線を薄め、その線を参考に本決めの線を描きこんだり、いらない線を消して整理したりできる。
使わなくても描き上げられればいいが、最初はお守り代わりに持っていてもいいだろう。
タイマー
5分を計ることができて、音が鳴ればなんでもよい。スマホのタイマー機能でも可。
鉛筆の持ち方
姿勢を正して背筋を伸ばして鉛筆を持つ。
鉛筆はやわらかく持ってなでるように描いていく。
持ち方は寝かせる持ち方と立てる持ち方があり、必要に応じて変えていく。
寝かせて持つ
優しい線が描きやすく、大まかな形を取ったり、幅の広い線を描くのに向いている。
立てて持つ
強い線が描きやすく、細部を描きこんだり、細い線を描くのに向いている。
筆圧が強すぎると線が消せなくなるので注意が必要。
時間配分
スケッチでは5分の制作時間の中で「観る→描く→見直す→修正」のサイクルを何度も繰り返すことで描き上げていく。
このサイクルをいかに短い時間でできるかによって制作時間も短くしていくことができる。
慣れたら3分、2分、1分と短くしていこう。
観る
観察しておおまかに捉える
人体の構造や骨格を捉える
見えない部分がどうつながっているか推測する
描く
おおまかに全体を描いてから細部を描きこんでいく
補助線を引いて比率を測りながら描く
短い線をつなげるのではなく、なるべく長い線をつなげて少ない線数で描く
一発でキメの線を引くように心がけると画力が格段にアップする
見直す
作品とモデルを見比べて修正点を探す
シルエットや輪郭、プロポーションを見比べる
重ねた線を見直して、必要な線、いらない線を決める
無意識のうちにモデルを観ずに、先入観や思い込みで描くような線が増えることがある。
そうすると、一見、綺麗に画面に収まった絵ができあがるが、線に勢いがなく、そつなくまとめた絵になってしまう。
修正
見直した時に出た修正点を修正
ズレている部位をなおしたり、要らない線を消す
服のしわや手などの細部を描き足す
薄い線に描き足して補強し、強弱の変化をつける
絵として魅力になるポイントを描き足す
5分の場合の時間配分の例
観る・描く(2分)
全体の構図を決め、大まかに描く
観る・描く・見直す・修正(2分)
再確認して細部を描く。ここまでで9割完成
見直す・修正(1分)
最終的な見直しと修正
画面構成
画面構成は画面いっぱいに大きく描くのが基本。
立ち姿なら、紙を縦にして頭のてっぺんを上端のギリギリ、足先を下端ギリギリに入れる。
寝姿なら、紙を横にして左右がギリギリになるように入れる。
最初に頭から描き始めると画面に対して小さすぎたり、はみ出るくらい大きくなったりしがち。
頭の大きさが決まると、その時点で、全身の大きさも決まってしまう。
プロポーションを表す際に「〇頭身」というように、頭の大きさが全体の基準になる。
大きさの感覚がつかめるまでは頭から描き始めずに肩などから描き、あとから頭を描くようにするのもあり。
描いたら評価する
描き上げたら、作品を遠くから見たり、モデルと見比べたりして、客観的に評価しよう。
複数人で講評会をするのもよい。お互いに見せ合ったりして意見をもらおう。
課題が見つかったら次回に活かしていく。クロッキーは1回で終わらず、日を改めて何度も繰り返し行うこと。継続していくことで力になる。
結論:描き切ることを目標に何回も繰り返し描くことで力になっていく
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