美大ってどんなところ?

美術部へ

「美術大学」略して「美大」。
変人の巣窟と思われている美大って、実際はどんなところなのか、美大卒業生の部長からお伝えしようと思う。

何をするの?

もちろん美術について学ぶことができるが、それだけではない。

大別すると一般教養と専門教養が学べる。一般教養では数学や理科、体育などの科目がある。他に美術史やデザイン論など美大ならではの科目もある。卒業必修科目に体育があったりするので、美術だけやっていれば卒業できるというわけではない。
専門教養では、各専攻に分かれて、専門の技術や知識を作品制作などの実習を通して学ぶことができる。
実物大の石膏像があったり、溶接や窯などの専門的な設備も用意されている。また、大学によっては個人のアトリエを与えてもらえる。とにかく作品制作をするにあたって申し分ない環境が用意されている。

就職できるの?

美大を卒業して、就職はできるのか?よく心配されることだ。
正直、就職に関しては厳しいのが現状だ
そもそも美大は就職に必要なスキルを習得する場所ではないので、卒業しても、特に資格もないし、在学時に面接練習をしてくれることもない。もちろん大学側が企業に斡旋してくれるわけもなく、一般企業へは自力で就職するしかない。
やはり美大卒なら、アーティストとして成功するのが一番の出世コースになるだろう。
その他の美術系への就職は、教授や卒業生の伝手で働き口があるにはあるが、少ない。
あとは工房に弟子入りしたり、企業したり、工房を立ち上げたり、パトロンをみつけたり、といったところだろうか。
どの科も厳しいが、その中で唯一、デザイン科はデザイン事務所や、広告事業など、働き口が多い印象だ。
他には、在学中に教員免許を取得して美術の先生になる道や、学芸員の資格を取得して美術館や博物館のキュレーターになる道もある。
そのまま大学の講師や、ゆくゆくは教授になるエリートコースもあるにはある。

美大に行く意味は?

就職が厳しいのなら、美大に行く意味はなんだろう?
美術に関する、様々な技術をまんべんなく実習することができるのも魅力の一つだが、技術だけなら絵画教室でも学ぶことはできる。
美大に通う一番の魅力は、刺激し合える仲間と出会えるということだろう。
作品制作にストイックに打ち込む仲間や高い技術を持った仲間に話を聞くことができるし、美術に対する考え方、思考や思想をぶつけ合うこともできる。そんな仲間を社会人になって探そうとしてもなかなか見つけられるものではない。
ただし、大方の予想通り、美大には変人が多い
毎日12時に昼食を自宅で食べないといけない人、酒瓶を持ってウロウロしている人、まったくしゃべらない人、毎日ゴスロリの恰好をしている人、美術という社会との接点がなければ「社会不適合者」と言われていたであろう、ギリギリの人達だ。
ただ、そんな変人達が生み出す作品には、唯一無二な世界観があったり、見るだけで感情を揺り動かされる何かがあったりするから侮れない。そんな愛おしい変人達が集まる環境に身を置いてみるのはいかがだろうか?

結論:就職は厳しいけれど、美術の知識や技術を仲間と共に高め合える変人の巣窟

関連記事:美術系高校ってどんなところ?

コメント